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私家版・ユダヤ文化論

内田樹さんの「私家版・ユダヤ文化論」を読みました。
読了の瞬間、なんだかいても立ってもいられないような、妙な興奮に包まれてしまいました。 これぞ、内田節!といっても主にブログ読者なので、著書は「ためらいの倫理学」と「寝ながら学べる構造主義」しか読んでいません。もう少し読みたいけど、いっぱいあるからな~。 内田さんはよく「わたしの述べていることは、いつもほとんど同じなのだ」という風に書かれているのですが、その「繰り返していること」がぐっと凝縮されているような気がしました。


この本は「ユダヤ人はなぜ迫害されるのか」というたいへん複雑な問題を扱っています。前半は「ユダヤ人は誰ではないのか?」「日ユ同祖論」「19世紀フランスにおける反ユダヤ主義」など、興味を引く内容でぐいぐい読ませるのですが、なぜか陰鬱な気分になりがちでした。


印象に残ったことは、迫害する側は善良な人間でありえるということ。善良であるからこそ陥ってしまう闇があるということ。それは、あらゆる時代のあらゆる場面で見られることだと思うのですが、自分が正義であると信じて疑わないこと、またはそうなっていく過程の怖さを改めて思いました。


それと陰謀説の薄気味悪さ。ひとは安心を得るために分かりやすい理由、原因を探してしまうのかなと。今の情報があふれかえる世の中で、確かだと思えるものを見極めることはとても難しいのですが、惑わされない目が欲しいとつくづく思いました。「一つの結果には必ず一つの原因があるという命題は正しくない」という文章が前半にあって、それがわたしの頭の中でぐるぐるまわっていました。


内田さんは時どき「中腰の姿勢に耐える」というような表現をしておられて、これに共感することが多いです。あっちにもこっちにも問題があって、すっきりした答えなんてないんだけど、その中途半端な状態をじっと堪えることをいとわない、思考停止しないということかなと勝手に解釈しています。そのこともまた読みながら考えてました。


終章がまた、私の貧弱な思考力を最大限まで引き出してくれるようで、滅法面白かったです。いや、正直言うとややこしくて、何度も読むのを止めそうになったのですが、そのつど、「いや、まっていただきたい」とか「出来る限りの説明を試みてみよう」といった文章が絶妙なタイミングで出てくるので、思わずにやりとしてしまいました。


「ユダヤ的知性」のあり方、「そのつど、すでに遅れて世界に登場するもの」というキーワード、「人間は不正を犯すより先に、不正について有責なのである」という意識のあり方による人間性の成熟など、すごく気になるフレーズが散りばめられつつ、どんどん話が展開していき、とにかく圧倒されたまま読了しました。終章のはじめに内田さんは、私たちの記憶に残るのは「片付かない言葉」であり、自分はなるべくわけのわからないことを書きたいと思ったと書いておられるのですが、まさしく思う壺。しっかりはまってしまい、読後もあれこれ考えてしまいます。


あとがきの締めくくり部分がなんだか好きです。敬愛する師がかけてくれたかもしれない言葉をあれこれ思い巡らせる内田さん。ちょっと暖かい気持ちになりました。


 

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  1. 2006-11-01(Wed) 05:47:12|
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  3. トラックバック 2|
  4. コメント 5

コメント

 こんにちは!ベルリンの中華料理店以来ですが、覚えていらっしゃいますでしょうか。今回、トラックバックを送ってみたのですが、どうもうまく反映されないようです。
 仰るとおりまさにこの本、ユダヤという個別の問題を扱っていながら、普段のウチダ節がかつてないほど凝縮されているという感じですよね。もやもやした読後感も、思考停止を免れるための原動力として、大事にすべきなんだろうと思います。
 実はTakuyaさんのところ経由で、こちらも以前よりちょくちょく拝見させていただいてます。イギリスでもお元気でお過ごしください!
  1. 2006-11-03(Fri) 23:22:05 |
  2. URL |
  3. yusuke #-
  4. [ 編集]

yusukeさん、コメントありがとうございます。
もちろん、覚えてますよ!実はわたしも、yusukeさんのブログ、たびたび覗かせていただいてました。あの、もしよろしければ、リンクさせて頂いてもいいでしょうか。最近ようやく続けられそうな気になってきました(笑)。
内田さんのこの本、やっぱり凝縮されてますよね。大事なキーワードだらけという感じで、読み返すたびに、あちこちで引っかかります。
トラックバック、上手くいかないんですね。私からも送ってみます。
  1. 2006-11-04(Sat) 06:10:56 |
  2. URL |
  3. kiharu #-
  4. [ 編集]

 リンク、もちろんがんがん貼ってしまってください。こちらからもリンクしておきますね。
 それでは、今後ともよろしくお願いします!
  1. 2006-11-04(Sat) 09:59:21 |
  2. URL |
  3. yusuke #-
  4. [ 編集]

 そうそう、トラバありがとうございました。こちらからもようやっと送信に成功しました。
 では!
  1. 2006-11-04(Sat) 10:07:43 |
  2. URL |
  3. yusuke #-
  4. [ 編集]

ありがとうございます!トラバ、できてましたね。こちらこそ、よろしくお願いします。
  1. 2006-11-04(Sat) 19:46:49 |
  2. URL |
  3. kiharu #-
  4. [ 編集]

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内田樹『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書、2006年)

 相変わらず面白い。ものすごく面白い、と言ってもいいかもしれない。 「ユダヤ人」イメージなどというのは、反ユダヤ主義者が構築した虚構に過ぎないかも知れないけれど、「反ユダヤ主義なんて虚構だ」と宣言したところで、対応策としては不十分(必要ではあるけれど)..
  1. 2006-11-01(Wed) 21:04:46 |
  2. Takuya in Tokyo

内田樹『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書、2006年)

 続けて内田樹ですが、こっちは7月20日発行の新刊。 これ、とりあえずすごく面白い本なのは確かなんですが、どう紹介していいものやら…。 とにかく、ユダヤ関連本としてはかなり特異な本だと思います。  おそらく、私が今まで読んだウチダ本の中では一番アカデミック.
  1. 2006-11-04(Sat) 10:00:05 |
  2. ロマンティク・エ・レヴォリュショネル
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